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夢ブロ

見た夢を元にしたナニカ。不意に停滞。しれっと再開。

バラック少年

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バラック少年

道幅の広い国道の両端には、僅かながらに白いガードレールで仕切られた歩道が設けられている。この歩道は小学校の通学路に指定されている。
わたしは女友達と二人、その狭い歩道を歩いていた。
学校の帰り道、もしかしたら、誰かの後を追っていたのかもしれない。

整備された綺麗な道のわりには、車の通行量は極めて少なく、人影もない。
辺りは一面の野原で、見渡す限り何もない。
特に目印はなかったが、ある場所まで来るとわたしたちは通学路を逸れ、野原の中へ踏み出した。

しばらく行くと小さなバラックが見えた。
ここだ。
トタン板を立てかけただけのような建物は、とても「家」と呼べるような形はしていなかったが、確かにここが彼の家だ。
見ると当の野口くんが縁側に足を垂らして座っていた。

「縁側」というのは正しくないかもしれない。まるでドリフのコントに出てくる茶の間の撮影セットのように家の正面がすっぽりなくて、中の様子が丸見えなのだから。
セットの端っこに座り、出番を待っている喜劇役者。彼の姿はそんな風にも見えた。

彼はわたしたちの存在に気づいた。
一瞬「あっ」と言うように口元が動いたような気がしたが、顔色は変わらなかった。

彼の家庭環境は複雑で、その生活は非常に苦しい・・・つまり「貧乏」だという噂は耳にしていた。
それは彼の普段の身なりからしても、単なる噂だけではないだろうと思わせた。
だが、これほどとは・・・。

しかし子供というのは、そういった「家庭の事情」に対し、案外冷静に受け止めているものだ。
現に彼は、明るく活発な・・・とまではいかないが、少しも卑屈なところなんてない。
誰にでも分け隔てなく接しているし、物事に動じない飄々とした物腰は興味さえ覚える。

そう、わたしたちはそんな彼に惹かれてこまで来たのだ。決して「冷やかし」なんかではない。
このバラックを見た瞬間「面白そう!」と、ワクワクしてしまったのは事実だが・・・。

子供は大人ほどボキャブラリーの蓄積はないから、見て感じたことをそのまま口にする。
時にその残酷な言葉で相手を傷つけることもあるけれど、それは彼らにとって「事実」そのものであり、変えることのできない「真実」だ。
かといって、大人のように口先だけの同情をしてみたところで、それは単なる自己満足に過ぎない。相手をより惨めな気持ちにさせるだけだ。
ただ子供には、残酷な事実を冷やかし合いながらも、互いに理屈ではないところで繋がる瞬間がある。

部屋の中には小さなちゃぶ台やブラウン管式のテレビなど、家財道具もドリフ並に揃っていて、外観から想像するよりは「家」としての体裁は整っていた。
ちゃぶ台に肩肘を突いて、彼の友達が座っていた。
大島くんだ。彼はひょうきん者だが、実は野口くんと似たような家庭環境だと聞く。

と、その奥にもう一人。少し年上らしき少年が寝転がっていた。
この少年にもわたしは見覚えがあった。どちらかといえば「いじめっ子」の類だが、確か、つい最近お母さんが再婚して苗字が変わったらしい。

そうか、この三人は友達だったんだ。

誰も口は開かなかったが、誰一人イヤな顔はしなかった。



[夢から覚めて]
三人の男の子たち(もちろん仮名)は、年代は違うけど実際にクラスに居た同級生の顔でした。

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